人材を新たに採用するとき、求人掲載や説明会の開催、面接などさまざまな面で採用コストが必要になります。
その採用コストの負担を軽減するための施策として、政府や自治体が行っているものが雇用関係助成金です。
今回は、雇用関係助成金にはどのような種類があり、人材採用時にはどのような条件で活用できるのかという点について解説します。
目次
助成金を受け取る条件
人材を採用する際に受け取ることができる助成金には、審査にとおるために必要な条件がいくつかあります。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 支給のための審査に協力すること
- 申請期間内に申請を行うこと
※「支給のための審査に協力すること」については、以下の条件を満たす必要があります。
- 支給のための審査に必要な書類(就業規則や出勤簿など)を作成、整備、保管していること
- 必要な書類を管轄労働局等から求められた場合に提出できること
- 管轄労働局等の実地調査を受け入れること
また「資本金の額・出資の総額」や「常時雇用する労働者の数」によって、中小企業に該当するか否かで受けられる助成金の種類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
産業分類 | 資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
小売業 | 5,000万以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
※医療法人などで資本金・出資金を有している事業者も同様
人材採用時に活用できる助成金
ここからは、人材採用時に活用できる助成金の種類と、受けられる助成の内容や助成が受けられる基準について紹介します。
トライアル雇用助成金
特定の要件に該当する、35歳未満の人材を雇用する際に受け取ることが可能な助成金が「トライアル雇用助成金」です。
(ハローワーク、地方運輸局(船員として雇い入れる場合)、適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等から紹介された人材、など)
支給対象者ひとりあたり、月額4万円(最長3ヶ月)受け取ることができます。
また、対象者が母(父)子家庭の母(父)の場合、月額5万円(最長3ヶ月)受け取ることが可能です。
中途採用拡大助成金
「中途採用拡大助成金」は、中途採用によって雇用創出を行った企業に対して支援される助成金です。
雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れられた人が該当するもので、パートタイム従業員や期間の定められた労働(派遣社員など)は含まれません。
- 中途採用拡大コース
※中途採用率を20ポイント向上させると50万円、40ポイント向上させると70万円、これまでに中途採用を行ったことがない場合は追加で10万円上乗せとなります。
また、45歳以上の中途採用をはじめて行った際の支給額は、60万円または70万円です。
- UIJターンコース
※東京圏からのUIJターンによる中途採用者に対して助成されるものになります。雇用後6ヶ月以上の継続が必要になるなどの要件があるため注意してください。
- 募集・採用パンフレットなどの作成・印刷経費
- 自社ホームページの作成・改修経費
- 就職説明会・面接会・出張面接などの実施経費
- 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士、民間有料職業紹介事業者等)によるコンサルティング経費
などに対し、中小企業は1/2を中小企業以外は1/3助成してもらうことができます。助成金の上限額はどちらも100万円です。
- 生涯現役起業支援コース
40歳以上の中高齢に該当する事業者が起業し、従業員を雇用した際に受けられる助成金です。
募集や採用・説明会にかかる費用や、従業員の教育訓練(資格取得など)にかかる費用の一部を支援してもらうことができます。
給付額は、企業時の年齢が40~59歳の場合は助成率1/2かつ上限150万円まで、60歳以上は助成率2/3かつ上限200万円までです。
特定求職者雇用開発助成金
「特定求職者雇用開発助成金」は、高齢者や障害者、母子家庭の母親、身体・知的障害者などの特定の条件を満たす労働者を雇用した事業者に対し、支給される助成金です。
対象労働者が65歳を過ぎるまで継続して雇用することが確実であり、且つ2年以上雇用を継続している場合に支給されるもので、中小企業とそれ以外の企業で支給額が異なります。
高齢者や母子家庭の母親を雇用した場合は50万円(60万円)、助成対象期間1年です。
重度障害者を除く身体・知的障碍者の雇用は、50万円(120万円)で期間1年(2年)、重度障害者等は100万円(240万円)で期間1年6ヶ月(3年)となります。
※()は、中小企業が支給される金額・期間
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者に対してキャリアアップにつながるような取り組みを行った際に、支給される助成金です。
以下の7つのコースに分けられます。
- 正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 健康診断制度コース
- 賃金規定等共通化コース
- 諸手当制度共通化コース
- 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長コース
助成金は各コースや中小企業か否か、人数などの要件によって異なります。詳しくは、厚生労働省発行のキャリアアップ助成金のHPを参照ください。
出典:「キャリアアップ助成金」(厚生労働省)
助成金以外で採用コストを削減する方法
助成金を受ける場合でも、採用に必要な経費は一部しか支給されないケースがほとんどです。
そのため、助成金以外で採用コストを削減し、業務の負担を軽減する対策が必要です。
採用コストの削減には、採用活動の一部をアウトソースする方法があります。
たとえば、採用管理システムを導入し、業務負担を軽減します。
採用管理システムについて詳しくは、以下の記事を参照ください。
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まとめ
採用に関する助成金は、金額の差こそあれ、すべての企業で受けられるものが多くあります。
しかし、採用活動におけるすべての費用に対して支援を受けられるものではないため、企業努力によってコスト軽減につなげることも大切です。
まずは、自社がどのような助成金を受けることができるのか、しっかり情報収集を行いながら、合わせて採用業務の負担軽減策も検討してみてはいかがでしょうか。