リファラル採用は、近年、企業の採用手法として注目を浴びています。
競争の激しい人材市場において、優秀な人材を効率的に採用するための有力な手法として、リファラル採用を導入する企業が増えております。
本記事では、これからリファラル採用を導入したいという企業に向け、リファラル採用とは何か、そして、メリット・デメリットなどを紹介していきます。さらに、実際にリファラル採用を導入している企業もいくつか紹介していきます。
目次
リファラル採用とは?
リファラル採用(Referral Hiring)は、既存の社員やビジネスパートナーなどの推薦を通じて、新たな人材を採用する手法を指します。
「リファラル」には「紹介」や「推薦」という意味があり、信頼できる人物からの推薦によって、企業の文化やニーズに合った人材を効率的に見つけることができます。
新卒採用や中途採用などの従来の採用手法では、求人広告やリクルーティングエージェントを利用することが一般的でした。しかし、デメリットに感じる点もいくつかあるので、従来の手法に対する有効な方法として注目されております。特に優秀な人材を確保したい企業におすすめできます。
リファラル採用の4つのメリット
リファラル採用は、単に人材を紹介してもらうだけでなく、企業に多くのメリットをもたらします。
ここでは、リファラル採用が企業にもたらすメリットについて紹介します。
採用の質が向上する
リファラル採用では、既存の社員が候補者を推薦するため、企業にとって適切な人材を採用しやすくなります。
推薦者は候補者のスキルや性格、企業文化への適応度をよく理解しているため、採用後のミスマッチが少なく、長期的に活躍する人材を採用できる確率が高まります。推薦者に人材像をしっかり共有していれば、より質の向上が見込めます。
採用コストを削減できる
求人広告や求人媒体を利用する場合、広告掲載料や紹介手数料などの費用が発生します。これに対して、リファラル採用は社員からの紹介で採用するため、広告掲載料などの費用を大幅に削減することができます。
リファラル採用でインセンティブ(紹介報酬)を導入する企業もありますが、これはエージェントの手数料に比べるとかなり低コストです。さらに、採用の質が向上することで、採用にかかる時間や追加の採用コストも削減することが期待できます。
採用スピードが向上する
リファラル採用では、通常の採用プロセスよりも迅速に候補者を確保することが可能です。
候補者がすでに推薦者と信頼関係を築いているため、選考プロセスがスムーズになることが期待できます。特に急募や専門性の高い職種は、リファラル採用が大変おすすめです。
また、企業にとって信頼性が高い手法であるため、候補者が早期に内定を受諾しやすいというメリットもあります。
社員の志気向上に繋がる
リファラル採用には、既存の社員が自分の知人や友人を推薦するというプロセスを通じて、社員の志気を向上させる効果があります。社員が信頼する人材が入社し、採用の成功に貢献することで、会社への愛着や責任感を強めることが期待できます。
また、推薦によって採用された人材が企業に順応し、活躍する姿を見ることで、推薦した社員自身のモチベーションも向上するでしょう。
リファラル採用の4つのデメリット
リファラル採用には、デメリットもあります。ここでは、リファラル採用が企業にもたらすデメリットについて紹介します。
デメリットを理解し、計画的な採用活動をしていきましょう。
適正な評価が難しい場合がある
既存の社員が候補者の強みを強調しすぎたり、弱点を軽視したりすることで、候補者の実際の能力や適性が正確に評価されにくいことがあります。
リファラル採用では、推薦者の意見が選考に強い影響を与えるため、通常の採用プロセスと比べて客観的な評価が難しくなることがあります。「人材像の共有はしっかりできている」という企業も油断せず、第三者による客観的な採用プロセスを入れることを検討しましょう。
人間関係に悪影響を及ぼす可能性がある
リファラル採用によって入社した社員がうまく適応できなかった場合、推薦者と新入社員との関係が気まずくなる恐れがあります。
特に、新入社員が期待した成果を上げられない場合、その責任が候補者である既存の社員にまわることがあります。当然、社内での人間関係に悪影響を及ぼすでしょう。このようなリスクがあることも事前に理解し、採用と教育をしていくことが大切です。
社員の理解と協力が必要になる
リファラル採用は既存の社員が紹介する採用方法であるため、既存の社員の理解が乏しいと、ミスマッチが起こりやすくなります。仮に採用できても、ミスマッチが理由で人事部や既存の社員に負担になることがあります。
ミスマッチを避けるために、人材像や採用計画をしっかり理解できるまで周知を行いましょう。社員の協力があって初めて採用が上手くいきます。
インセンティブの負担が増える
リファラル採用を促進するためにインセンティブ(紹介報酬)を提供する場合、そのコストが企業にとって負担となることがあります。
特に、リファラル採用の成功率が低い場合やインセンティブ制度がうまく機能しない場合には、コストパフォーマンスは良いとは言えません。インセンティブがしっかり機能するために対策や採用計画を考えていきましょう。
リファラル採用成功のためのポイント5選
本見出しでは、リファラル採用を取り入れたい企業に向け、リファラル採用成功のためのポイントを4つ紹介します。
・採用要件や人材像を明確にする
・求人募集の告知をする
・定期的な告知を実施する
・社内環境を整える
・不採用時の対応を整える
上記の5つを意識した採用活動で、リファラル採用の成功に大きく近づきます。では、それぞれ解説していきます。
採用要件や人材像を明確にする
「なぜ採用活動をしているのか」「どういう人材が欲しいのか」など、採用要件や人材像を明確にし、既存の社員に伝えることが求められます。
採用要件や人材像を 明確にすることで、既存の社員が紹介する目的がはっきりし、リファラル採用への向き合い方も大きく変わります。また、人材像がはっきりしているため、ミスマッチも大幅に減るでしょう。
求人募集の告知をする
社内でリファラル採用をすることを事前に告知しましょう。リファラル採用(紹介)をするという意識づけを事前にすることで、採用活動開始から多数の紹介が期待できます。このタイミングで、インセンティブ報酬について共有することも推奨します。
「リファラル採用を行っていることを知らなかった」と、発言する社員も大幅に減るでしょう。
定期的な告知を実施する
リファラル採用活動開始時だけでなく、そのあとも定期的に既存の社員に向け、リファラル採用の内容や熱意を伝えていくことが必要となります。既存の社員に採用活動を協力してもらう分、既存の社員の認識に不一致があったり、意欲が足りなかったりすると、リファラル採用は機能しません。
告知や周知をする時は、どういう人材が欲しいのか、採用や事業のビジョンを伝えていきましょう。
社内環境を整える
リファラル採用は社員の紹介が前提となっているため、社員の愛着や満足度が低い場合は、紹介が乏しくなる恐れがあります。「知人や友人に紹介したい」と思えるように、社内環境を整えていきましょう。快適な職場環境を作ったり、福利厚生や社員限定のサービスなどを充実させたり、社員の満足度が上がる工夫をしていくことをおすすめします。
また、リファラル採用で入社した社員が馴染みやすい職場環境にしていくことも考えていきましょう。
不採用時の対応を整える
既存の社員が友人や知人を紹介があったが、不採用になるというケースももちろんあります。不採用という結果から、紹介者と紹介された方(応募者)が気まずくなることもあるでしょう。そのような事態も考えられることを予測し、アフターフォローを充実させることを推奨します。
アフターフォローでは、推薦者との1on1の相談やミーティング、推薦者と候補者を交えたリファラル会食をしていきましょう。
また、紹介した後の未来に不安を感じる既存の社員がいる場合は、不安を解消するために、十分なコミュニケーションをとっていきましょう。
【じつはやばい?】リファラル採用と縁故採用の違い
コネ採用と世間的に言われる「縁故採用」。リファラル採用とよく比較され、「やばい」「良くないんじゃない?」という意見をしばしば耳にします。
ここでは縁故採用とは何か、また縁故採用との違いについて解説します。
コネ採用とも言われる、縁故採用とは?
縁故採用とは、企業の経営者・社員のツテ、以前からある個人的な縁や繋がりを活用して人材を採用する手法です。
選考は実施されるが、選考のプロセスがカットされることも多く、「選考が実施されていないのでは?」とネガティブな印象を持つ方は多いです。
(「顔合わせのみ」「書類選考は免除する」などのプロセスがカットされる)
リファラル採用と縁故採用との違い
「もともとある繋がりを活用して、採用する」という点で、「リファラル採用と縁故採用を同等のもの」と扱う方もいらっしゃいます。
改めて、それぞれの方法を箇条書きで記載します。
- リファラル採用…既存の社員やビジネスパートナーなど、推薦を通じて新たな人材を採用する手法を指します。
- 縁故採用…企業の経営者・社員のツテや、以前からある個人的な縁や繋がりを活用して人材を採用する手法です。
上記の文章だけを見ると、同じように見えるかもしれません。
2つの採用方法の大きな違いは、”目的や前提、選考フローが異なる”という点です。
リファラル採用…「組織の強化」や「(企業の採用活動における)母集団形成」を目的とします。既存の社員から紹介はするものの、候補者に求める能力やスキルが備わっているかを見極めた上で採用するケースが多く、必ずしも採用されるとは限りません。
縁故採用…「紹介者や候補者の救済」を目的としています。入社を前提としていることが多く、通常の選考フローを介さず、入社時点で経験やスキルが必要条件を満たしていない人材でも採用するケースが多いとされています。
「リファラル採用:会社・事業を大きくするため」「縁故採用:紹介者と求職者を助けるため」
このように考えていただければ区別ができます。
リファラル採用の導入成功事例
リファラル採用を導入して、今もリファラル採用を継続している企業の成功事例をいくつか見てみましょう。
株式会社SmartHR
クラウド人事労務ソフトで企業の間で大変話題になっている「SmartHR」は、リファラル採用を実施しております。
株式会社SmartHRは、「まずは組織の環境を整えることから始め、その後に施策・採用計画を考える」ということを実施し、リファラル採用成功を実現しました。
万が一、候補者が採用に至らなかった場合のアフターフォローもしっかりしている点も評価のポイントです。
≫https://recruit.smarthr.co.jp/?_ga=2.48464294.1043574334.1723517074-1151761865.1723517074
株式会社メルカリ
日本最大級のフリマアプリとなった「メルカリ」。いち早くリファラル採用を導入し、成功をおさめた企業として知られています。
「mercan(メルカン)」という、メルカリ内で働く人々の様子を掲載するオウンドメディアの立ち上げは話題となり、特に注目を集めました。
また、リファラル採用の中でも様々な手法を試したのも成功の1つと言えます。
インターンや在学中に成果を上げると初任給が上がる制度、選考参加希望者の交流会など、他社にはマネできない制度や施策をしていきました。
≫https://mercan.mercari.com/articles/30117/
(メルカン)
株式会社富士通
カメラやパソコンなどの家電製品の販売、そして、ICTサービスでは国内1位、世界でも7位の売上実績にある大企業も、リファラル採用を実施中。
富士通は3万3000人を超える社員がおり、その社員の数を採用に活かせないかという点に着目し、リファラル採用を始めました。その後、「MyRefer」という専用ツールの導入を実施。SNSを通したワンクリックの紹介や一元管理を可能にし、大きな成果を上げました。
リファラル採用は公式サイトでも一般公開しており、プロセスもしっかりしております。
≫https://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/career/application/refarral/
まとめ リファラル採用は適切な計画と運用が必須
リファラル採用は、企業が優秀な人材を効率的に採用するための強力な手法です。
採用の質を向上させ、コストを削減し、採用プロセスを迅速に進めることができるため、多くの企業がこの手法を導入しています。「採用の質を向上させたい」という企業はぜひリファラル採用の導入を検討しましょう。
リファラル採用の成功には、適切な計画と運用が不可欠です。そのため、専門的な知識を持つ採用コンサルティング企業のサポートを受けることが推奨されます。
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