内定者研修というと、「入社後にしっかり働けるよう、スキルを身につける機会」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、実際には内定者研修にはさまざまな意味があります。
今回は、数ある内定者研修の目的に触れ、内定者研修におすすめのコンテンツ5選についてもご紹介。
効果的な研修実施のタイミングについても触れていきます。
内定者研修を行う意味や目的
内定者研修を行う意味や目的と何でしょうか。ここからは、内定者研修の必要性について考えていきます。
内定者の”辞退“を減らすため
内定者研修を行うのは、内定者が「辞退」をしないための対策として有効だからです。
最近ではどの業界でも人材不足が叫ばれています。
すると、優秀な学生ほど多くの企業からオファーを受け、引く手あまたの状態になるのです。
いくつもの内定を得ることができる学生は、当然ながら企業を選ぶようになります。
内定を出した企業側が、次は学生に選ばれる立場になるのです。
そのため、内定を出した後は、辞退するのを引き止める策が必要になります。
そこで有効なのが、内定者研修です。
まず、研修を行って企業と学生とがコミュニケーションを取れば、企業への親近感を維持することができます。
採用活動中は何度も両者が顔を合わせますが、内定が出ると距離ができてしまうのです。
内定が出てから入社までは、約半年ほど期間が開くこともあります。
できるだけこまめにコンタクトを取ってコミュニケーションをし、関係を密にしておくといいでしょう。
他の企業に先んじることで、内定者の辞退を減らすことができるはずです。
内定者の不安、悩みなどを払拭する意味も
入社を控えた学生たちは、内定が出たことで新たな悩みや不安を抱くことがあります。
内定者研修はその悩みを解消し、不安を払拭するのにとてもいい機会になり、これが辞退を減らうことにも役立つでしょう。
就職活動中は、内定を得るために夢中で対策をする人がほとんどです。
いわば戦闘態勢で、日々企業研究や面接対策に忙しいため、気を抜く時間がないのです。
しかし、内定が出て就職活動が終わると、余裕を持って考える時間ができます。
すると、「本当にこの会社で良かったのか」と、多くの学生が考えてしまうのです。
この現象は内定ブルーとも呼ばれるほど多くの学生が陥る現象です。
最初はささやかな漠然とした不安でも、時間が経つほどに不安が大きく膨らんでしまう人も……。
そこで内定者研修があれば、「やっぱりこの会社でよかった」と、思い直す機会ができます。
これが内定者の辞退を減らす対策にもなるでしょう。
チームワークを形成し、横のつながりを意識させる
内定者研修は、内定者同士がコミュニケーションを深め、チームワークを形成するのに役立ちます。
企業でのビジネスは基本的にチームワークです。協同性を持って物事に取り組む意識がなければ、職場がうまく回らないこともあるでしょう。
そのため、内定者研修でチームワークについて学んだり、ワークショップなどを通してチームワークの大切さなどを認識したりすることは、入社後役に立つのです。
また、内定者同士の横のつながりは、入社後には“同期”としてお互いを励まし合うような関係性になります。
すると、これが内定者辞退の防止にも繋がり、入社後の仕事の質を上げることにもつながるのです。
これまではライバル同士だった内定者が、初めて手をつなぐときでもあります。
学生から社会人へとステップアップが必要ななかで、仲間の存在は成長を促すはずです。
社会人としての意識付けをするため
内定者研修は、社会人として自覚を持ってもらうための意識付けとして有効です。
世間では、学生と社会人では、その責任の重さが違うとよく言われます。
学生が授業をサボれば自分が学びの機会を失うだけですが、社会人は会社全体の損失につながることがあるからです。
また、ビジネスは度々“信用”で成り立つところがあります。そのため、社会人としての責任感があるかどうかは、取引先との信用問題に影響を与え、それが会社の経営全体をも左右します。
内定者研修は、社会人になる準備をする研修と位置づけられます。このような社会人として重要な心構えを学ぶのにちょうどいい機会といえるでしょう。
入社後、即戦力として活躍してもらうように学ぶ
先に触れた内容と似ているかもしれませんが、内定者研修は入社後の即戦力を身につけるのに丁度いい研修です。学生時代の期間に少しずつ入社後の仕事を覚えておくことで、いいスタートを切れるでしょう。
昨今の人材不足から、十分なスキルを持った人材を得ることは簡単ではありません。
その点、内定者研修で必要なスキルを教育しておけば、企業が思った通りの人材を育てることができます。
充実した内定者研修を行える企業なら、見込みのある学生を採用すれば、内定者研修で求める人材へと教育することが可能です。
即戦力として活躍してくれる人材を探しているなら、いっそのこと内定者研修で教育する方法を検討するという企業は少なくありません。
社会人マナーなどを学ぶため
入社前に知っておいてほしい最低限のスキルに社会人マナーやビジネスマナーも、内定者研修のコンテンツにふさわしいと言っていいでしょう。
例えば、名刺の受け渡しなどは学生時代には経験しない人も多いはずです。
このように、ビジネスシーンならではのマナーを、社会人マナーやビジネスマナーと呼んでいます。
入社後すぐにでも相手に礼節を尽くせるように、内定者研修で学んでおくことはとても有意義になるでしょう。
内定者研修におすすめのコンテンツ5選
ここからは、内定者研修におすすめのコンテンツを5つご紹介しましょう。
ビジネスマナーと”人から見られる意識”を身につける
ビジネスマナーは、挨拶だけでなく「上座・下座」などの上下関係の知識や、敬語、電話での挨拶など、さまざまなことを学びます。基本的な時間厳守などについても教えられ、社会人としての基礎を学ぶ場です。
基本的に社会人マナーは「相手に失礼のないようにする」内容を学ぶことが多いため、マナー講座内では「人から見られる意識」について考えさせられます。
例えば、お辞儀の角度によって見る人がどんな印象を得るかなどは、その一つの例です。
社会人になれば、誠心誠意謝罪をしなければいけないシーンもあるでしょう。
その際に、きちんと謝れる大人かどうかは、企業イメージを左右します。
このような社会人マナーは、内定者研修にはピッタリの内容です。
簡潔な文章を書くためのライティングスキル
文章を書くことは、社会人になるととても重要です。
メールやメモ、企画書など、意外と文章を書く機会が多い社会人。
齟齬がないような文章を書けるかどうかはとても大切です。
また、読む相手のためにも、簡潔な文章を書くことが求められます。
そのためのライティングスキルを内定者研修で磨いておけば、入社後、先輩社員とのコミュニケーションもスムーズにできるでしょう。
相手に伝わる話し方やプレゼンテーションの方法
どんないいアイデア、企画があっても、プレゼンテーションなどで上手に伝えられなければ意味がありません。
内定者研修で相手に伝わる話し方、プレゼンテーションの方法を学ぶことができれば、新入社員の能力をいかんなく発揮できるはずです。
PC操作、ExcelやPowerPointのスキル
最近では、スマホばかりでPC操作に慣れていない学生も多いといいます。
内定者研修の期間に基本的なOAソフトに慣れておけば、テクニカルイシューにつまずく新入社員を大幅に減らすことができるでしょう。
直属の上司が教えることもできる内容ですが、入社後のOJTではもっと専門性のあることを学んだほうが効率はいいです。
できるだけ内定者研修の間に、ExcelやPowerPointなどのソフトには慣れておいた方がいいでしょう。
チームワークやコミュニケーション力を高める
内定者研修中には、内定者同士がお互いを知ることができるワークなどを実施するといいでしょう。
グループワークなどを通して協同性のある体験をすることで、お互いの理解を深めて共同体としての意識が強くなります。
また、ビジネスの場ではチームワークやコミュニケーションが大切であることを、実感することができるでしょう。
内定者研修の実施時期
内定者研修には、その内容によって最適な実施時期があります。
例えば、社会人としての心構えを学ぶなら、10〜1月頃が最適です。
場合によっては入社直前1〜3月頃にやってもいいですが、人材の流出が怖い場合は、10月頃から何度かに分けて行うといいかもしれません。
ただ、あまりに早すぎると負担が大きいので、メンバーを見て決めてもいいでしょう。
実践で使うマナーや文章などの研修は必要ですが、あまりに早すぎると入社時には忘れてしまいます。
そのため、入社直前の時期である1〜3月頃に行うと効果的です。
最近では、実際の仕事をロールプレイングするビジネスゲームなどを行うことがあります。
このような実践形式の場合は、10〜12月頃、もしくはそれ以前から始めてもいいかもしれません。
協同性のある内定者研修はチームワークが良くなり、内定者同士の仲も良くなるため、少し早くから行っても構いません。
内定者辞退を防ぎ、協同性を高める内定者研修
内定者研修は、内定者辞退を防ぎ、内定者の協同性を高める働きがあります。
また、内定者の不安や疑問を払拭したり、チームワークの重要性に築いたりと、さまざまな目的があります。
入社後に役立つビジネスマナーやPCスキルなど、多くは内定者が活躍しやすいような配慮でもあります。
もはや、内定者研修はメリットばかりです。
これから内定者研修に参加するなら、その一つ一つはとても重要なコンテンツであることを自覚して受講しましょう。