採用活動を行う上で、新卒の離職率が高いなと悩んだことはありませんか?
会社規模や業種によって、離職率は大幅に異なるため平均値を出すのは難しいのですが、厚生労働省の調査にて、新規学卒者の離職状況が発表されています。
平成31年に卒業した大学生の場合、入社して3年での離職率は、10.0%、人数でいうと、46,546人が3年以内に離職しています。
企業としては早期退職されてしまうことにより、採用コストがかかってしまう・会社の評判が落ちる・人手不足になるのがデメリットです。
本記事では、新卒の離職率について、離職してしまう理由・デメリット、離職率を下げるための方法など詳しく解説していきます。
新卒の離職率の平均とは
新卒の離職率の平均とは、企業単位で算出することができますが、厚生労働省の調査にて日本の企業対象とした離職率の平均を出しています。
平成31年卒業生の場合、入社して3年目に離職する新卒の率は10.0%となっており、どの時代でも大きな変化はないという結果が出ています。
会社規模や業種によっても離職率は異なりますが、どの企業でもだいたい同じ結果が出ているのが特徴です。
ここでは、離職率の計算方法から過去の統計について、業種や会社規模によってどのように違うか解説していきます。
新卒の離職率を計算する方法
・入(離)職率の計算方法
入(離)職率=入(離)職数/1月1日現在の常用労働者数×100%
引用:厚生労働省「雇用動向調査:調査の結果」
新卒の離職率を計算する方法は、厚生労働省にて計算方法が定められており、自社の数値に当てはめることで算出が可能です。
たとえば、新卒の3年間の離職率を出すのであれば、新卒の数が30人でそのうち3人が離職した場合、3人÷30×100=10%として算出できます。
離職率の算出方法は、どの期間で離職率を算出したいのかによって数値が大幅に異なるため、自社で分析しやすい期間を設定するのが良いでしょう。
離職率はいつの時代でも大きな変化は無い
厚生労働省の発表する離職者率(数)を確認してみたところ、いつの時代でも離職率は大幅に変化していることはありません。
平成8年から令和3年までの結果を見ても、大学卒業の新卒が3年の内に離職するのはだいたい8%から9%だと発表されています。
あくまでも平均値のため会社勤務や業種によっては異なりますが、いつの時代でも新卒の離職率に悩んでいる企業は多いとされています。
そのため、離職されないような環境構築を行いつつ、より自社にマッチした新卒を獲得していかなければなりません。
参考:厚生労働省「新規学卒者の離職状況」
離職率は会社規模や業界によって異なる
離職率が高い業界 | 離職率が低い業界 | |
業界/職種 | 宿泊業、飲食サービス業、教育業、小売業などのサービス業界 | インフラ業、鉱業、採石業、製造業 |
離職率は、会社規模や業界によって大幅に異なり、離職率の高い業界と低い業界で顕著に分かれています。
厚生労働省の調査結果である、平成30年度3月卒業の大学生の結果を見てみると、サービス業の離職率が高いとされています。
しかし、インフラ業界に関しては離職率が低いとされており、業種において離職率は大幅に異なるようです。
他の年代を見てみても同様な結果となっているため、サービス業界では新卒の長期雇用をするための対策が必要となります。
新卒が離職してしまう理由とは?
新卒が離職してしまう理由には、実際に入社してみたら相当と違った・聞いていた話と異なる点が多いなど、認識の相互によるものがあります。
さらに、他に魅力的な企業を見つけてしまったので、転職を希望しているケースもよくあるものです。
実際に、BizHitsが2021年に実施したアンケート調査によると、新卒1年以内で転職した理由には、「人間関係の悪さ」「労働条件の不満」「仕事内容の不一致」があげられています。
なぜ離職してしまうのか原因が分かっているのであれば、問題を解決し従業員にとって働きやすい環境を提供していくことが大切です。
参考サイト:BizHits「新卒1年目の転職は厳しい?転職理由やタイミングを381人にアンケート調査」
入社してみたら想像と違った
合同説明会やインターンシップに参加した時の印象と、実際に入社してみた時にギャップが発生した場合、早期離職してしまうケースがあります。
就活生の多くは、初めての就職のため説明会やインターンシップの時の印象で、企業の良し悪しを決めることがほとんどです。
期待していた環境や業務内容でない場合、離職を検討されることもあるので、説明会の時点で、ある程度業務内容について触れておくことが必要です。
面接の段階においても、実際にどういった業務があるのか、どういった課題に直面しがちかなど、業務に関するリアルな面も伝えるようにしましょう。
入社前に聞いていた話と異なる点が多い
入社前に説明されていた業務内容と異なる点が多い場合にも、離職されてしまうケースが多々あります。
これは、入社してみると実際に割り振られた仕事が聞いていた話と違う・業務の適正が自分に合っていないといったミスマッチにより発生します。
ほかには、仕事に面白さを感じなくなってしまうと、会社に対する帰属意識も薄い新卒の場合、早期退職を望むことも多いでしょう。
帰属意識は、入社前からしっかりと育てておくことで、入社後のミスマッチを少なくでき、早期退職を防げるようになります。
そのため、内定した段階から、どういった業務を依頼するのか・どのような勉強をして欲しいのかなどをしっかりと伝えることが大切です。
他に魅力的な企業を見つけてしまった
ある程度仕事内容に慣れてくると、自分のキャリア形成やライフプランにあった企業を探し始めることがあります。
その結果、ほかに金銭面や待遇といった、他に魅力のある企業を見つけてしまった場合に、離職が発生しがちです。
多様な働き方やライフプランが重視される現代では、今よりももっといい会社で勤めたいという意識が高い傾向にあります。
また、現代の就活生たちは、1つの会社に長く勤めるというのではなく、より自分にとってマッチした企業を探して転職活動を行っています。
そのため、定期的に福利厚生や昇給、スキルアップのための教育などを見直し、この会社で長く務めたいと思ってもらえるような環境作りが必要です。
職場環境になれない
インターンシップで実際に話を聞いてみて、自分にとってこの職場が合っていると思ったとしても、実際に入社してみると職場環境が合わないことがあります。
これは、インターンシップ時に話をしてくれた上司がいる部署とは、別の部署に配属された場合などに起こりがちです。
また、社風や経営方針になじめないケースも多々あり、自分の考えている将来設計と合わないため離職することもあります。
現代では、多くのキャリアプランやライフプランに合わせた福利厚生を提供している会社があるため、転職を考えることも少なくありません。
インターンシップや合同説明会の時だけでなく、面接の時にも自社の社風についてしっかりと伝えるようにし、就活生との齟齬がないように注意しましょう。
上司や同僚との関係がうまくいかない
就職から1年以内に退職してしまう就活生も多くいますが、多くの理由は人間関係がうまくいかず、ストレスを感じたからといわれています。
説明会やインターンシップ、面接では、採用担当者が対応することもあり、実際に配属された部署の人たちと異なるケースがあります。
思っていたよりも上司が厳しい人であった・一緒に入社した同僚とうまく関係が作れないといったケースは多く、早期退職につながるでしょう。
入社前から縦横のつながりを作ってあげるようにして、入社後も安心して働けるようにコミュニケーションを取ることは大切です。
離職率が高くなると起こるデメリット
インターンシップや面接などに費用をかけていたにもかかわらず、離職されてしまうと採用コストがかかってしまいます。
さらに、ブラック企業なのではないかと会社の評判が落ちることもあり、離職率が高くなることは非常にデメリットです。
また、人手不足により業務が進まなくなるといった弊害もあり、離職率が高くなると、企業の成長にも関わってきます。
ここからは、離職率が高くなると起こる弊害について詳しく解説していきます。
余計な採用コストがかかる
まず新卒採用を行うのであれば、1年から2年単位の期間を要するため非常に採用コストがかかる業務となっています。
新卒採用を行う場合、合同説明会やインターンシップにかける費用、面接を行う採用担当者の人件費といった、さまざまな採用コストが必要です。
さらに、入社後には、新卒の教育コストもかかってくるため、離職率が高くなればなるほど余計な採用コストがかかります。
新卒に業務を教える担当となった従業員の時間も、なかったことになってしまうため、離職率が高くなるのは非常にデメリットです。
会社の評判が落ちる
離職率が高い=ブラック企業というイメージが強いこともあり、何か問題のある会社なのではないかと評判が落ちる可能性があります。
最近では、企業に対する口コミをまとめたサイトも多くあるため、ウェブサイトで企業名を検索すると、すぐに評判を見ることができます。
結果、業務内容がきついのではないか・残業が多すぎるのではないかなどの評判が広まってしまい、新卒採用に影響がでるかもしれません。
さらに、取引先やお客様にも評判が伝わってしまうと、最悪の場合、取引停止にもつながる可能性もあります。
悪いイメージが広まる前に対策を取ることが重要となるため、なぜ離職されてしまうのかしっかりと原因を把握し改善していきましょう。
人手不足により業務が進まなくなる
少子高齢化が進んでいる現代では、多くの企業で人手不足に悩まされており、新卒の離職率が進んでしまうとより深刻な問題となってきます。
定年を迎える従業員が多い場合、若い世代を育てていかなければ、業務が進まずに、企業の経営問題にもつながってしまいます。
人手不足を解消するために、業務のシステムで対応するDX化を進めている企業もありますが、多くの企業では自動化が進んでいません。
さらに、人手が必要な仕事というのはどうしてもあるため、人材の確保は企業にとって経営戦略をする上でも非常に重要です。
若年層を育てていくためにも、新卒の早期離職を避けなければならないため、離職率を下げるための対策を行っていきましょう。
新卒の離職率を下げるための方法
新卒の離職率を下げるためには、母集団の形成から自社について詳しく知ってもらうことが大切です。
思っていたような企業とは違ったといった認識の齟齬で離職されないように、早い段階から自社について深く理解してもらうように工夫しなければなりません。
また、メンター制度の導入で、縦横の繋がりが強化されることにより、新卒が相談しやすい環境を作ることも大切です。
他には労働条件や福利厚生を見直すことで、帰属意識も強化されるため定期的な見直しをすることも検討してみましょう。
母集団形成から自社について詳しく知ってもらう
母集団形成の時から自社について詳しく知ってもらうことで、企業と就活生の間でのミスマッチが起きにくくなります。
たとえば、パンフレットだけでなく動画による会社説明を用意することで、より深く自社について知ってもらえます。
早期から自社について詳しく知ってもらえれば、帰属意識を高めていくことに繋がり、早期退職を防げます。
インターンや合同説明会の際には、実際に新卒を割り当てたい部署の社員も連れて行くようにし、業務内容や部署の雰囲気なども、しっかりと説明しましょう。
メンター制度の導入で相談しやすい環境を作る
メンター制度とは、社歴や歳の近い先輩社員が、新卒の教育・相談を受ける制度のことで、年が近いので相談しやすいといった特徴があります。
新卒で入社した場合、初めての社会人経験ということで歳が離れすぎていると萎縮してしまったり、話が合わなかったりとストレスを感じがちです。
しかし、歳の近い先輩社員による教育を受けられたり相談にのってもらえたりすることで、話しやすい環境を構築できます。
コミュニケーションもスムーズに取れるようになり、新卒の育成も効率的にできるため、コストパフォーマンスの良さも魅力です。
このとき、メンターとして活躍してもらう社員を選ぶ際には、コミュニケーション能力が高く話を聞くのに長けている人を選ぶようにしましょう。
労働条件や福利厚生を見直す
労働条件や福利厚生は、頻繁に変更するものではありませんが、時代に合わせて見直していくことも必要です。
時短勤務やテレワークの導入といった労働条件の見直しや、福利厚生の内容を充実させてみるといった方法があります。
また、評価制度の見直しを行うのも有効で、頑張っている新卒には高い評価をしっかりと与え、頑張りを見てもらえていると認識してもらいましょう。
高い評価を得られていると自信にもつながり、会社に貢献できているんだと、より頑張りたいという気持ちが生まれます。
さらに、評価に合わせて待遇もしっかりと良くしていくことで、新卒の離職率を軽減し、定着率が向上するでしょう。
採用活動に悩んだら採用管理ツールを導入しよう
採用担当者は、新卒が離職しないように、母集団形成から戦略的に行っていく必要があり、入社後の教育に関しても検討する必要があります。
多くの業務に対応しながら、時代に合わせた採用活動をしていく必要があるため、戦略を考える時間が必要です。
採用活動は、採用担当者にとって多くの悩みを抱えるものとなるので、効果的かつ効率的に行っていきたいのであれば、採用管理ツールの導入をおすすめします。
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