「人材がなかなか会社に定着せず、離職率が上がっている」
このようなお悩みを抱える採用担当者は多いでしょう。
離職率が高いままだと、会社の将来の担い手がいなくなります。また、転職を考える人材にとっても離職率の高さはネックだと感じられるでしょう。
本記事では、離職率が高い原因と離職率を上げないための防止策について解説していきます。
目次
日本国内の離職率の現状
離職の防止はどの企業も課題として挙げていると思いますが、実際に全国的にはどのような現状なのかご存じでしょうか。
ここでは、離職率の現状と離職防止が必要な理由について解説します。
コロナウィルス流行以降、国内の離職率は再び上昇

厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況- 就業形態別入職率・離職率の推移」より引用
厚生労働省によると、就業形態別の離職率は大きく上がることも下がることもない状態が続いておりましたが、コロナウィルスが大流行した2020年を境にやや上昇傾向にあります。
離職率(一般)で見ると、2023年は2020年と比べると、約1.4%上昇しています。

厚生労働省「-令和5年雇用動向調査結果の概況-離職理由 別離職率の推移」より引用
厚生労働省の調べによると、2023年の離職の個人的な理由は2021年と比べると、約1.3%上昇しています。
事業所理由が約0.9%と、変化していないことを考えると、コロナウィルスによる就業者の心理や状態の変化があったと予想されます。
離職率を下げないといけない理由
様々な事情や理由で離職が伴いますが、では、「なぜその離職率を下げないといけないのか」ということをよく理解していない方も多くいます。
離職率を下げないといけない理由は以下の通りです。
・少子高齢化により、人材が足りていないため
・働き方の多様化によりキャリアの選択が増えている
各企業が離職率を下げないといけない理由について解説します。
少子高齢化により、人材が足りていないため

厚生労働省「我が国の人口について」 より引用
厚生労働省の調べによると、少子高齢化により2070年には「高齢化率」は2025年より約8%も上昇し、2070年の「15~64歳割合」は2025年より約7%も下がっています。
今後若年層や出生率はさらに下がり、高齢という言われる世代はさらに増えます。働ける人材も当然減るでしょう。
人材(働ける人の母数)が減れば、今以上に1人1人の人材がさらに貴重なものとなります。人材や従業員としっかり向き合い、会社の定着率を上げることが大切です。
働き方の多様化によりキャリアの選択が増えている
- 転職が当たり前になっている
- 働き方改革により働き方が多様化している
これらの変化で、仕事の選び方、向き合い方が大きく変わっています。
終身雇用が当たり前だった時代と比べると、「ここの仕事が合わないから転職しよう」と、入社から早いタイミングで転職を試みる方は増えています。
人材が足りなくなれば、経営を続けていくことも困難です。働き方の変化にも着目しながら、離職防止策を考えていきましょう。

離職率が高くなる4つの原因
採用活動において離職率が高くなる原因は以下の通りです。
・条件面での不満
・業務の不満
・職場環境の不備
・将来の不安
ここでは採用担当者に向け、離職率が高くなる主な原因について解説します。
条件面での不満
中小企業で働く社員のなかには、労働条件に不満を抱えている人材がいます。
不満が上がる条件面の例として、以下のようなものが挙げられます。
- 労働量に対して給与が安い
- ボーナスが出ない
- 休日が少ない
- サービス残業が当たり前のように行われている
これらにより、社員のモチベーションは下がります。
また、自社の労働条件を条件の良い大企業などと比べると、どうしても不満を抱いてしまいます。
改善される様子がないとさらに不満に感じてしまうでしょう。
「定年まで不満を抱きながら勤め続けるよりは転職が良い」という決断に至るケースが多いです。
業務の不満
中小企業は大企業と比べて、社内で行われている業務の幅はあまり広くありません。
特定の製品に特化した業務を行っている中小企業も多く、どうしても業務の選択肢が狭くなってしまいます。
入社してみると、担当業務のほかにも、細々とした雑務をこなさなければならないケースもよくあります。
想定以上の「業務量の増加」「労働時間の超過」があると、業務や企業に不満に感じたり、ミスマッチにつながったりする可能性があるので注意が必要です。
職場環境の不備
業務に関する教育体制や評価体制など、職場環境が十分に整っていないことも離職が多い理由のひとつです。
教育体制と評価体制の不満が挙がる例を見てみましょう。
◆教育体制
例)仕事に慣れるのに時間がかかってしまう
→なかなか習得できないことにストレスや不安を感じ離職するケース
◆評価制度
例)頑張りがが正当に評価されない
→モチベーション低下により離職するケース
心当たりある企業は注意が必要です。
また、仕事そのものには大きな不満がなくても、毎日顔を合わせる上司や同僚との折り合いが悪いと、ストレスを感じてしまうでしょう。
将来の不安
会社の業績が上がらない状態が長く続くと、社員は不安を感じてしまいます。
業績不振にもかかわらず経営陣の方針が変わらないようであれば、「そのうち倒産してしまうのではないか」ということで、転職を考えるようになるでしょう。
これに加えて社内でキャリアプランを作れないことが理由で辞める人も多いです。
10年後・20年後のキャリアを想像できないような職場では、将来が不安だと感じてしまいます。
離職率を下げる方法|離職率の上昇を回避するには?
離職率を下げる方法/離職率を上げない方法は以下の通りです。
・環境を整える
・社員に経営者の想いを伝える
・ストレスチェックを行う
・ミスマッチを予防する
ここでは、各離職率を下げる方法について解説します。
環境を整える
職場環境が不十分な場合には、整備することで離職率を下げられる可能性が高いです。
環境整備の代表的なものとして以下の3つが挙げられます。
- 福利厚生
- 研修制度
- 労働時間や評価制度の見直し
各内容を例を用いて紹介します。
福利厚生
福利厚生を整えることで、社員のモチベーションを向上させることが可能です。
社員の会社に対する満足度も上がります。
例)
アニバーサリー休暇制度
レジャー施設を割引料金で利用できる制度
など
研修制度
業務で役立つ学習の機会があることで、自分に何が必要なのかを考えさせ、将来のキャリアプランも作りやすくなります。
成長を実感できれば、モチベーションの向上につながるでしょう。
例)
月1回の勉強会
中長期間の研修
など
労働時間や評価制度の見直し
労働基準法の規定を超えるような長時間労働やサービス残業などを行っている場合には、改善を試みましょう。
また、適切な評価制度を導入することで、業績アップに貢献した社員が正当に評価されます。
例)
定時退社について規則に追記
残業代の給与額引き上げ
頑張りや実績を昇給やボーナスに反映
など
社員に経営者の想いを伝える
会社の将来に対して不安を抱く社員に対しては、経営者の想いや考えを伝えることが有効な対策です。
会社の現在の状況や将来のビジョンを伝えることで、不安が払拭されてモチベーションが上がることも多いです。
規模が小さい中小企業なら、経営者から社員に直接話をするような機会も設けやすいでしょう。
ストレスチェックを行う
過度なストレスが原因で早期離職をする人も多いですが、ストレスの感じ方はそれぞれで、周囲の人から見てもなかなかわかりません。
そのため、社員に対してストレスチェックを実施しましょう。
社員が大きなストレスを抱えていることがわかれば、離職を決意する前に対策を講じることもできるようになります。
また、社員が抱えている悩みについて具体的に把握していれば、離職を考えるようになる前にサポートすることも大切です。
自社でストレスチェック項目の作成が難しい場合は、厚生労働省が提供しているストレスチェック実施プログラムをぜひご確認ください。
≫厚生労働省 ストレスチェック実施プログラム ダウンロードサイト
ミスマッチを予防する
入社前と入社後のミスマッチは早期離職につながりやすいため、採用の段階でお互いによく理解しておかなければなりません。
説明会や求人媒体でPRをする際にポジティブな面だけを伝えると、ミスマッチが起こりやすい傾向にあります。
候補者に適切な企業理解を促すため、ある程度はネガティブな面を伝えることも必要です。
LINEを使った採用管理システムの採マネnextを利用すれば、メールよりも高い開封率・返信率で応募者とコミュニケーションを取ることができます。
より親密なコミュニケーションが可能になり、ミスマッチの予防につながるでしょう。
カスタマイズが自由にできることで、会社独自のPRツールとしても充実しており、採用担当者の負担も軽減できます。

まとめ
労働条件や職場環境などを理由に中小企業を辞める人は多いです。
労働時間の短縮や研修制度の導入など、できることから少しずつ改善していきましょう。
採用の段階でできるだけ多くのコミュニケーションを取り、自社についてよく知ってもらうことでミスマッチの防止に役立ちます。
弊社、株式会社アローリンクでは中小企業に向け、採用コンサルティングを実施しています。
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