近年、労働人口の減少や少子高齢化により、多くの企業で人手不足が加速しているのが現状です。
さらに、採用市場も売り手市場となっているので、中小企業では様々な手法を活用しなければ人材を獲得できなくなっています。
そのため、多くの企業では年々採用コストが多くかかってしまい、採用活動の効率化を進める必要があります。
本記事では、採用コストの相場・計算方法を紹介します。また併せて採用コストの削減方法についてもお伝えします。
目次
採用コストとは?コストは2種類に分けることができる
採用コストには、外部コストと内部コストの2種類があり、それぞれ役割が大きく異なっています。
外部コストは、広告会社やパンフレット制作会社など、外部の業者に支払う費用です。
一方、内部コストは、会社内部で採用に費やした費用のことです。
外部コスト▼
- 広告費
- 会社案内やリーフレット制作費
- 説明会の会場費
- 採用ホームページ管理費
内部コスト▼
- 人件費
- 応募者の交通費
- 会食費
- ノベルティグッズ費
ここでは「外部コスト」と「内部コスト」それぞれについて解説します。
外部コスト
- 求人広告費
- 会社案内やリーフレット制作費
- 説明会の会場費
- 採用ホームページ管理費
外部コストの多くは求人広告費となっており、求人広告を掲載している媒体数が多ければ多いほどコストがかかっています。
他にも、人材会社や採用代行会社を利用している企業の場合、外部コストが多くかかることになります。
また、会社案内やリーフレットなどを紙媒体で印刷している企業だと、毎年情報を更新をするため使い回しができないことによる廃棄や保管コストが発生します。
まずは企業にとって掲載している求人媒体があっているのか、人材紹介や採用代行に頼らずに自社で完結できないかを検討してみてください。
他にも、会社案内やリーフレットを電子化して配布するなど、削減できるコストを洗い出すようにしましょう。
内部コスト
- 人件費
- 応募者の交通費
- 会食費
- ノベルティグッズ費
内部コストとは、社内で必要となるコストのことで、採用担当者の人件費や応募者の交通費、内定者フォロー時の会食費といったものが含まれます。
他にも、説明会に参加してもらった学生宛にノベルティを配布しているのであれば、その費用も内部コストとなります。
交通費や会食費、ノベルティグッズなどは請求書を見れば費用がすぐに分かりますが、人件費は工数管理をしなければ明確な数値は判断できません。
内部コストを正確に判断するために、採用担当者がどの業務にどれくらいの時間をかけたのか、明確に管理できる仕組みが必要です。
また、内部コストを削減しすぎてしまうと、従業員の不満が蓄積されてしまうため、採用コスト削減する際には注意しつつ進めましょう。
採用コストの計算方法
採用コスト=採用にかかるすべての費用÷採用人数
採用者1名にかかる求人広告費の計算方法
求人広告費=採用にかかるすべての求人広告費÷採用人数
上記にある「採用にかかるすべての費用」は内部コストと外部コストの総額となっています。
人件費も忘れずに費用に組み込んで計算します。
また、採用コストには求人広告費もかかっており、採用者1名あたりにどれくらいの求人広告費がかかっているのかも計算ができます。
採用コストを削減するためには、具体的にどの部分に多くの費用がかかっているのか洗い出す必要があります。
そのため、採用者1名あたりかかるコストや求人広告費、内部コストや外部コストなど、細かく分けて分析していきましょう。
新卒採用・中途採用に係る採用コストの相場
ここでは新卒採用・中途採用にかかる採用コストの相場や平均採用単価について解説します。
相場について理解し、採用活動の経費管理に活かしましょう。
新卒採用にかかる採用コスト
就職みらい研究所の『就職白書2020』の調べによると、2019年度の新卒採用における平均採用単価93.6万円でした。
2018年度では、平均採用コストが71.5万円だったのに対して、22.1万円も増えているのがわかります。
中途採用にかかる採用コスト
就職みらい研究所の『就職白書2020』の調べによると、2019年度の中途採用における平均採用単価103.3万円でした。
2018年度では、平均採用コストが83.0万円だったのに対して、20.3万円も増えています。
新卒採用と増え幅は変わりませんが、中途採用のほうが新卒採用よりも多くコストがかかっているのが数値でわかります。
採用コストを下げるためにAIを導入する企業が増加
今後、少子高齢化により労働人口がさらに減ることが予想されます。
どこの企業も、少なくなる労働人口に対して、採用が激化します。採用がうまかなければ採用期間が延び、その分採用コストがかかるでしょう。
そこでコスト削減のために、AIを導入する企業は増えています。
就職白書2023年によると、新卒採用へのAI導入目的に「採用活動に係る労働時間の削除」「採用活動に係る人員の削除」と回答した方がいずれも40%超えと、高い数値を示しました。
採用コストを下げるために、AIを導入する企業は増えています。
採用コストを削減するためにAIや採用管理システムを導入することをおすすめします。

外部コストの削減方法
どの費用項目をどのような方法で見直せば、採用コストを削減することができるのか見ていきましょう。
外部コストの削減方法は以下の通りです。
・ダイレクトリクルーティングの活用
・自社ホームページや採用サイトの活用
・インターンシップ導入
これらを実行することで、外部コストを削除することができます。
ダイレクトリクルーティングの活用
ダイレクトリクルーティングとは、求人サイトや広告を使わず、企業の側から候補者を探す能動的な採用手法のことをいいます。
手段によっては、費用がほとんどかからないものもあるため、広告費の節約になります。
具体的には、以下の方法があります。
- ソーシャルリクルーティング
- リファラル採用
これらは求人媒体の掲載に変わる手段として、今一番注目を集めています。それぞれ解説していきます。
ソーシャルリクルーティング
ソーシャルリクルーティングは、人事担当者がSNS上で直接候補者とやり取りをする方法です。
SNSでは候補者の日常の様子や考えが垣間見えるため“素の人となり”が分かるというメリットがあります。
企業が採用したい人には、ダイレクトメールなどでヘッドハンティングができます。

リファラル採用
リファラル採用は、企業内の従業員から人材を紹介してもらう方法です。
すでに働いている従業員からの紹介であるため、企業と求職者双方のミスマッチを少なくするメリットがあります。

自社ホームページや採用サイトの活用
自社が運営するホームページや採用ページに求人情報を掲載することで、掲載料をかけずに求人募集を行えます。
さらに、自社のホームページや採用ページ内のコンテンツを充実させれば、入社後のミスマッチも防止することも可能です。
コンテンツ作成で抑えるべきポイントは以下の通りです。
・会社の雰囲気や求める人材をわかりやすく伝える
・実際に働いたときのイメージや、求職者自身が自社のことを正確に認識できるよう工夫する
ミスマッチが無くなることで、内定を出した学生が無事に入社し、長く働き続けてくれます。その結果、採用コストも抑えることができます。
また、採用ページと外部の求人検索エンジン(Indeedやスタンバイなど)と連携すれば、より多くの学生に自社の求人情報を届けられるでしょう。
インターンシップの導入
インターンシップの導入もミスマッチの防止に大きな効果があります。
インターンシップの期間は短期と長期にわかれており、短期のインターンシップであれば、はじめて実施する企業でも開催しやすいでしょう。
短期のインターンシップの内容は、セミナー、会社見学、業務体験などがあり、それぞれのメリットを考慮して企画すると次のステップにつながりやすくなります。
インターンシップの開催時期が会社の繁忙期と重なってしまった場合は、採用代行の利用も有効です。
代行業者への依頼料はかかりますが、ミスマッチ採用を予防するための必要なコストと考えて良いでしょう。
内部コストの削減方法
次に、内部コストの削減方法を見ていきましょう。内部コストの削減方法は以下の3つです。
・採用担当者の負担軽減
・採用管理システムの導入
・オンライン面接の導入
これらを実行することで、内部コストを削除することができます。
採用担当者の負担軽減を行う
採用担当者に多くの業務が集中しているのであれば、業務負担を軽減させることで残業や休日出勤といった人件費の削減ができます。
また、過労働が続いて負担が多くなってしまうと、採用担当者が離職してしまう可能性も高まるため、業務負担の軽減は非常に重要です。たとえば、採用担当者が人事も兼ねているのであれば、採用代行会社を利用したり人数を新たに補充したりと、環境の構築をし直しましょう。
ただし、企業によっては人材補充をするのが難しい場合があります。
- 採用管理システム
- オンラインツールの利用
- AI
これらを活用することで、内部コストのさらなる削減が実現できます。
採用管理システムの導入
多くの応募者から選考を行う場合、応募者とのやり取りや、個人情報・スケジュールの管理などに多大な手間と時間を費やすことになります。
そのような労力や時間コストを削減するツールが、採用管理システムです。
採用管理システムは、応募者情報やスケジュールをシステム上で一元管理できるため、採用担当者の負担を大きく減らすことが可能です。
そのため、人件費の節約に繋がります。
また、採用管理システムを使えば応募者のフォローやレスポンスがスムーズに行えるようになるため、応募から採用までの過程で離脱者を減らせます。
結果的に少ない選考回数で採用活動を終えることができるため、採用コストの削減に役立ちます。
採用管理システムは応募者が扱いやすいシステムのものを選ぶことが大切です。
新卒採用なら、LINEを活用した採用管理システム「採マネnext≫」が効果的です。
多くの就活生はLINEに親しんでいます。
すべてのやり取りをLINEに一元化することで、応募者のユーザビリティを向上させ、同時に企業とのコミュニケーションを濃密にすることもできます。
「採マネnext≫」ならコスト削減とスムーズな採用活動を両立することが可能です。

オンライン面接の導入
オンライン面接とは、「ビデオ会議システムを利用して行う面接」を指します。
対面することなく面接を実施できるため、テレワークの一環や社会情勢に合わせて導入する企業が増えています。
オンライン面接は以下のメリットがあります。
- 対面での面接に比べて応募者との日程調整がしやすいため、選考期間を短縮しやすい
- 面接会場の設営準備もないため、採用活動の効率化にもつながる
応募者の情報をオンライン上で管理するような仕組みを作れば、面接時に使用する紙の資料や書類がなくなるため、印刷にかかっていたコストも削減できます。
業務負担の軽減やコスト削減を考えるのであれば、このような仕組みも整えておきましょう。
採用コストの削減時の注意点
採用コストを削減しようと注力してしまうばかり、通常の業務がおろそかになってしまっては本末転倒です。
ここでは採用コストを削減する時の注意点について解説します。
コスト削減だけに注力しない
コスト削減ばかりに意識が向いてしまうと、本当に必要なコストまで削減してしまう可能性があるため注意が必要です。
たとえば、多くの求人広告媒体を利用しているのであれば、自社にとって効果のあるサイトに絞るのは有効だといえます。
すでに高い効果を得ている採用媒体の利用をやめてしまうと、採用目標の達成が遠のいてしまいます。
費用面だけで見るのではなく、利用している中で効果が出ているのかどうかで判断することが大切です。
必要なコストに優先順位をつける
自社で効果を得ている業務には、しっかりとコストをかけつつ、不要なコストの削減をするようにしましょう。
そして、必要なコストに対して優先順位をつけていくことが大切です。
具体的には、外部コスト・内部コストを洗い出し、必須とされるものを順番に書き出しをしていきます。
そして、優先度の低いものは、コスト削減のために撤廃してもいいのかを検討していきます。
優先度の高いものだとしても、採用ツールの導入や業務の自動化をすることで、採用の効率化につながります。
長期的に見れば、業務が効率化されることで人件費削減につながるため、その分ほかの業務に注力する時間ができます。
まとめ
採用活動は費用は「外部コスト」「内部コスト」の大きく2つに分けることができ、それぞれのコストは以下の方法で削除することができます。
外部コスト | 内部コスト | |
費用の種類 | ・広告費 ・会社案内やリーフレット製作費 ・説明会の会場費 ・採用ホームページ管理費 |
・人件費 ・応募者の交通費 ・会食費 ・ノベルティグッズ費 |
コスト削減の方法 | ・広告媒体の見直し ・ダイレクトリクルーティングの活用 |
・採用管理システムの導入 ・オンライン面接の導入 |
コストを削減しながら、採用手法を見直すことで、最小限の費用で最大限の採用実績を作ることが可能です。
本記事を参考にぜひ採用活動を改めていきましょう。
採用コストの削減には、採用管理ツールの導入がおすすめで、歩留まり分析や求職者のアクションをもとに、どのような課題点があるのかを分析しやすくなっています。
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