新卒採用の母集団を行う際には、採用サイトや新卒紹介サービス、合同説明会など、様々な方法があります。これらの方法で母集団形成を行えます。
しかし、母集団形成を行う際には、会社の知名度が低い・選考に移行してもらえない・欲しい人材が集まらないなどの課題も出てくるでしょう。
本記事では、新卒採用の母集団形成を成功させるためのポイントや方法を解説します。
母集団形成とは?背景と目的
ここでは母集団形成とはなにか、そして母集団形成ができた背景や必要な理由についてお伝えします。
母集団形成とは?
母集団形成とは、採用活動をする中で自社に興味を持っている候補者を集めること、または候補者の集団のことを指します。
集める人は候補者なので、応募している方はもちろん、興味を持っている方も含まれます。
採用サイトや合同説明会、インターンシップ、SNS活用など、様々な方法で母集団形成を行うことができます。
なぜ、必要?母集団形成ができた背景
採用活動をすると、さまざまな選考を通して、候補者を見極めていきます。選考が進むと、自然と候補者が絞られます。
ただし、一定の人数を確保できていないと、目標としていた採用人数に届かないということがあります。
一定の応募者を確保できれば、採用人数に届かないという懸念点が解決されるので、「母集団形成」が必要ということが分かります。
-少子高齢化により、一人の労働者を複数の企業が奪い合う状態になる
日本は少子高齢化が進み、売り手市場に変化しています。
厚生労働省が提供する「日本の人口の推移」のデータを見ると、2020年時点では1億2,615万人であった人口は、2070年には8,700万人にまで減少するということが分かります。
求人を出したら複数人の応募者集まる「買い手市場」だった日本も、”求人を出しても、応募者が全然集まらない”「売り手市場」に変化しています。
また、働き方の多様化も市場の変化に影響を与えているでしょう。
「意識して、集団を作る」ということが求めれています。

母集団形成のメリット
ここでは、母集団形成によるメリットを4つ紹介します。
4つのメリットを理解し、今後の採用活動に活かしましょう。
計画的な採用ができる
採用活動は複数の工程から成り立っており、計画を立てて採用活動をすることは大切です。
この計画を立てずに採用活動をしては、採用目標が達成できないのはもちろん、事業そのものにも悪影響を与えてしまいます。
母集団形成を行うことで、候補者の人数を考えることになるので、おのずと数値目標ができ、管理がしやすいのはもちろん、採用目標も立てやすくなります。
採用コストの見積りができる
採用活動では、採用コストがかかることは必然ですが、このコストも採用計画を明確に立てるか立てないかで大きく変わります。
もし、母集団形成をせずに採用活動をした場合、「とりあえず募集しよう」のような考えで採用活動をしてしまうので、数値目標を立てることなく、コストの超過や採用活動の長期化を招くことがあります。
母集団形成ができていれば、採用人数の予想を立てることができるので、採用予算を考えるようになり、無駄のない採用活動が実現できるでしょう。
新入社員の定着率が上がる
母集団形成を実施すると、採用人数だけでなく、採用したい人材のターゲットも明確になるので、ミスマッチ減少に繋がります。
ターゲットの選定により、人事側も採用したい人材像が明確になり、選考中の採用可否がしやすくなります。
また、自社に興味を持っている応募者を見極めやすくなるため、質の高い人材の採用が見込めるでしょう。
自社にマッチした社員の入社は、満足度が上がりやすく、社員の定着率向上につなげることが可能です。
事業成長につながる
母集団形成により採用予想が立てやすくなれば、適正なコストで活動ができ、会社の財務面は良くなるでしょう。
また、母集団形成によるターゲットの選定で、より自社にマッチした社員の入社の可能性が大きくなります。
自社にマッチした新入社員は、愛着審も高く、事業に大きく貢献するでしょう。

母集団形成を成功させるための5つのポイント
ここでは、母集団形成を成功させるポイントを5つご紹介します。
- 採用したいターゲットを明確にする
- 採用人数を決める
- 学生のスケジュールを踏まえた採用活動をする
- ターゲットを意識した広告・宣伝活動をする
- 複数の手法を実施する
各ポイントで母集団形成における注意点もお伝えします。
5つのポイントを理解し、最高の採用活動を実現しましょう。
採用したいターゲットを明確にする
母集団形成で「採用したいターゲットを明確にすること」は大切です。
採用したい人材像が曖昧であると、実際に求人募集や採用の告知を実施した時に応募者に響きづらい内容になってしまうため、求職者が応募や行動に繋がらず、採用が長引く可能性があります。さらに採用手法が曖昧になるケースもあるでしょう。
また、ターゲットが不明確なので、選考の際に採用担当側でズレが生じて、採用がうまくいかなかったり、入社してもミスマッチが生じてしまったりすることがあります。採用担当の間で採用したい人材像を適宜すり合わせしましょう。ターゲットの見直しを定期的にするとなお良いでしょう。
採用人数を決める
ターゲットを決めたら、採用人数(採用予定数)を決めましょう。この採用人数が目標値となります。
採用人数が決まっていないと、採用目標が曖昧な状況となるため、効率の良い採用活動も期待できないでしょう。目標値(数字)が決めれば、具体的な採用戦略も練りやすくなります。
この採用人数は「会社の事業計画」と「現場のニーズ」を考えることで、導き出すことができます。
会社の事業計画…
今の既存の社員が5年後、10年後にいくつになるか、そしてどの部署、どの役職にいるか、社員は何人なっているか、事業はどうなっているか など
現場のニーズ…
成長している部署や事業であれば、人員を何人あてたらさらに成長するか。苦戦している部署や事業であれば、人手不足になっていないか、社員構成の見直し など
将来と現場をどちらも見ることで、適切な採用予定数を導き出せます。
数値が決まれば採用計画もしやすいです。
学生のスケジュールを踏まえた採用活動をする
採用活動は学生が対象となるため、基本的には学校のスケジュールにあわせて説明会やイベントを開催したり、選考を行ったりする必要があります。
学生のスケジュールを理解しておかないと、「選考イベントに参加しない」「学生がなかなか日程調整ができない」ということにもなりかねません。
・授業が終了する時間帯はいつか
・長期休暇はいつか
・学校主催の就職活動イベントはいつあるのか
など
学生の立場に一度立って考えてみましょう。そして、その情報をもとに逆算しながら採用計画を立てましょう。
ターゲットを意識した広告・宣伝活動をする
ターゲット選定や採用計画を立てて、募集をかけても認知されていないと応募に至りません。イベントを実施ししても求職者が集まらないでしょう。
求職者からの認知度を上げるために採用サイトやメディアに広告を出すことを検討しましょう。この広告を出す時にターゲットを意識したアプローチをすることが大切です。
また、自社でオウンドメディアを立ち上げ、告知や募集をしていくこともおすすめできます。
インターンシップについては以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
オウンドメディアリクルーティングとは?選び方から注意点まで徹底解説
※オウンドメディア…企業が運営するメディア(SNSを含む)を活用して、優秀な人材を確保するための手法です。
複数の手法を実施する
複数の採用手法を組み合わせることで、さまざまな方向から求職者にアプローチすることができます。
広告や宣伝活動でも利用したオウンドメディアなどを活用するのも良いでしょう。
1つの手法だけで採用活動をすると、どうしても応募元が限られるため、求職者を逃してしまう可能性があります。
近年、SNSや就職専用のアプリなどの登場で、採用活動の幅もさらに広がっております。
複数の手法を取り入れて、ターゲットへのアプローチを多方面から考えていきましょう。
新卒採用の母集団形成を行う方法とは
新卒採用において母集団形成を行う方法は8つあります。
- 合同説明会
- インターンシップ
- マッチングイベント
- 自社サイトのリクルートページ
- 採用サイト
- 新卒紹介サービス
- リファラル採用
- SNS
ここでは、母集団形成を行う各方法について解説します。
合同説明会
合同説明会は、季節を問わずに開催されていることが多く、さまざまな能力を持った学生と直接会話ができる機会となっています。
多くの学生が参加する合同説明会であれば、パンフレットを配ることで会社に対する認知度を上げてもらうことも可能です。
また、対象を絞った合同説明会であれば、より自社の欲しい能力を持った学生に出会えるので、効率よく母集団形成が行えます。
就職活動が落ち着いてくる時期での合同説明会の開催は、思ったより学生が集まらないこともあります。
学生たちがインターンシップに参加する時期や3月・4月頃など、多くの学生が集まるであろう時期を見極めて開催することが大切です。
会社説明会については以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
会社説明会で集客できない!原因は企業の施策に問題あり?
インターンシップ
インターンシップを開催することで、自社や業界に興味のある学生が集まるため、母集団形成しやすいのが特徴です。
会社説明や業界説明といったインターンシップは短期で開催されるので、学生が参加しやすくなっています。
夏休みに行われる長期インターンシップの場合、実際にその企業で業務体験ができるので、ある程度入社したい会社の決まっている学生が参加します。
インターンシップから、本選考へ移行する学生も多く、母集団形成をしつつ人材獲得しやすいのはインターンシップならではでしょう。意欲の高い学生を集めたい場合はインターンシップの導入は必須です。
インターンシップについては以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
インターンシップを成功させて選考参加数を増やす。5つの秘訣をご紹介
マッチングイベント
就職活動に関するイベント会社が開催するマッチングイベントでは、合同説明会よりも出展数が少なく開催されます。
学生の集客はイベント会社が行ってくれるので、企業としては出展するだけで多くの学生に出会えるのが特徴です。
会社の認知度が低かったとしても、学生に会社を知ってもらえる機会となり、母集団形成がしやすくなっています。
ただし、出展する際には、しっかりと座談会やプレゼンテーションなので学生の興味を惹かなければ、本選考まで移行されません。
マッチングイベントで話した学生に、より興味を持ってもらいたいのであれば、イベント開催後にも定期的に連絡を取るなどコミュニケーションも大切にしましょう。
自社サイトのリクルートページ
自社サイトにリクルートページを作成することで、採用サイトよりも自社についてオリジナリティのあるデザインでアピールができます。
会社の雰囲気を伝えるために多くの写真を使ったり動画を載せたりすることで、より学生たちに自社のことを深く知ってもらえます。
また、新卒採用の流れやどういった学生を求めているかなど明確に記載することで、企業と学生とのマッチ度を高めることも可能です。
企業の認知度が高くなければ、自社サイトを見てもらう機会が減ってしまうため、多くの学生に知ってもらえるような仕組みを作りましょう。
採用サイト
新卒向けの採用サイトも多く、掲載しておくことで、学生が検索した条件にマッチすれば目につきやすいのが特徴です。
多くの学生が利用しており、一般的な母集団形成方法となっているので、企業として取り入れやすい方法となっています。
複数の採用サイトに掲載しておけば、より多くの学生の目につき、今までアプローチできていなかった幅広い層で母集団形成が行えます。
採用サイトを活用する企業も多くなっているので、当たり障りのない内容だと埋もれてしまいがちです。
1つの採用サイトでも、ランニングコストがかかってしまうため、自社に適した採用サイトかつ、効果的な運用ができるように戦略を立てなければなりません。
新卒紹介サービス
新卒紹介サービスでは、欲しい人材や能力などを登録しておくことで、自社にマッチした新卒生がいれば、エージェントから紹介してもらえます。
企業の情報から募集している部署の業務内容、社風などを元に、マッチした学生がいるかどうかエージェントが探し、紹介してもらうのが流れです。
紹介会社では、就活生向けにカウンセリングを行っている企業も多いため、マッチした際には学生も前向きに検討してくれることが多いです。
企業の認知度が低かったとしても、マッチ度が高ければ紹介してもらえるので、効率的に採用活動を進められます。
「認知度が比較的低い」と思う場合は、あらかじめ利用することをおすすめします。
リファラル採用
リファラル採用とは、社員の友人や後輩、内定者からの紹介により、母集団形成を行い、採用活動を進めていくことです。
新卒で入った社員の後輩であったり友人を紹介してもらうことで、採用サイトを使った母集団形成よりも効果的に採用できることがあります。
仲のいい社員からの紹介であれば、入社に対する不安感も少なく、すでにコミュニケーションもある程度取れているので、前向きに検討してもらえます。
内定者から学生を紹介してもらうことで、親しい友人と同じ会社で働けるというモチベーションにもつながるでしょう。
リファラル採用を行う前提で今のうちから社内共有・社内教育をすることが大切です。
リファラル採用については以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
注目を浴びる「リファラル採用」とは?企業におけるメリットと企業の導入事例
SNS
母集団形成として、ぜひ取り入れていただきたいのは、SNSを使った企業の認知度向上です。
中小企業の場合、認知度が低ければ採用サイトを使ったとしても、多くの企業の中で埋もれてしまい、なかなか母集団が集まらないことがあります。
しかし、SNSであれば、日々の投稿や画像・動画によるアピールがしやすいため、企業についてより深く知ってもらう機会ができます。
また、SNSで優秀な学生を見つけた場合には、ダイレクトメッセージなどで直接アプローチすることも可能です。
運用担当者のネットリテラシーが低ければ、炎上や就活生とのトラブルが発生することがあります。
運用体制はしっかりと管理しなければなりません。
SNS採用については以下の記事で解説しています。併せてご覧ください。
SNS採用はメリットが多い?導入効果から炎上リスクまで徹底解説
新卒採用の母集団形成をする際の課題
ここでは母集団形成の課題や注意点について説明します。
対策もお伝えするので、ぜひ自社の母集団形成に活かしましょう。
人事側だけで話し合わない。社内全体で話し合う
採用担当や人事部だけで母集団形成を行うと、現場の声や状況を反映せずに採用活動を行う傾向が高くなり、入職者にすれ違いやミスマッチが起こることがあります。
すれ違いやミスマッチがきっかけで早期離職が増加してしまったら、元も子もありません。
母集団形成は採用を担当する方だけでなく、会社全体で話し合いをしましょう。
選考の内容を社内全体に反映すればすれ違いがなくなります。また、求職者に寄り添った新人教育がしやすくなり、ミスマッチを減らすことにも繋がるでしょう。
振り返りと改善を絶えず必要
母集団形成や求人募集をする中で、数字や結果を追わずに採用活動をしてしまうと、取り入れている手法がうまくいっているかどうか分かりづらいです。
振り返りがないと、採用活動に悪影響を与えてしまうでしょう。また、採用活動の長期化をもたらし、多大なコストがかかってしまう恐れもあります。
応募者数や各選考の通過率など、これらは数値で表現できるので、この数値をもとに随時振り返りをしていくことが大切です。
社内で振り返りを定期的に実施し、問題や課題が生じたときは改善をしていきましょう。
流行手法が良いわけではない。自社にあった手法を取り入れる
激しく変化する世の中で、画期的なツールやテクノロジーが誕生しており、便利かつ効率的な手段を選択できるようになっております。
これらを導入することで採用活動に変化は出るでしょう。
しかし、新しい手法や技術が自社に最適かどうかはしっかりと検証をしなければなりません。
「最新の技術だからうまくいく」というわけでもないのです。
新しい手法を取り入れる前に、自社にあった手法は何か、そして自社の強みやターゲットを話し合いましょう。
まとめ
新卒採用の母集団形成を行うのであれば、自社に適した手法をもとに、的確に欲しい人材を集める必要があります。
小規模の採用活動を行うのであれば、インターンシップやリファラル採用などを利用することで、より実際にマッチした人材に出会えます。
また、大規模な採用活動を進めるのであれば、合同説明会や採用サイトの活用、長期的な運用が必要ですがSNSを利用するのもおすすめです。
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